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日本唯一の経営者専門スーツ仕立て屋
2015年5月20日

ワールド500店舗閉鎖のニュースに思う事

昨日のネットニュースを見ていたら、ボクがかつて在職していたワールドのこんな記事が載っていました。

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ワールド 全3,000店舗中400-500店舗を閉鎖

量を売る時代は終わった

このニュースを見て最初に思ったのはそんな事でした。大企業がその規模を使って、大量の商品を安く仕入れ、全国にあるショップで効率的に販売していく。

そんな時代はもはや終わったのかも知れません。

日本はこれから人口減少に向かっていきます、モノも情報も隅々まで行き渡っている。安く買おうと思えばいくらでも安く買えるし、別に買わなくたって困らない時代です。

ボクがワールドに在職していた1995~2005年、売れ筋キーワードを見つけそのキーワードを入れた商品を出来るだけ早く、出来るだけ安く、出来るだけ多く調達し、全国にあるショップで同じようなディスプレイ、販売員さん達にも同じようなスタイリングをさせ効率的に販売していく。プロパーショップ(定価販売の店)で売れ行きが悪い商品は、ルールにのっとりアウトレット店で販売される。割引率もルールに合わせどんどん上がる。

そんなスキームがどんどん整備されていきました。

いわゆるSPAと呼ばれる手法ですが、当時その手法がもてはやされワールドもその波に乗ってぐいぐいと業績を伸ばしていったんです。

それまでは全国にある小売店に商品を卸すスタイルから、自らが直営店を持って販売するスタイルに軌道修正したのもその頃。ボクがワールドに入社した1995年には直営店は殆どありませんでした、そこから20年ほどで今や3000店舗まで持っていったワールドの企業力はすさまじいと思います。

変化をしないと滅亡が待っている

SPA業態の大ヒットで売上も店舗数もうなぎのぼり、ボクが入社した頃ワールドの年商は1300億円でしたが年商3000億を超えるアパレル企業のトップに上り詰めました。

でもそこまでの成功体験をしてしまうとなかなか変われない。

ボクもワールド離れて10年近くになるので細かい事は分かりませんが、今もワールドで働いている友人達と話をすると基本的にはあまり変わっていないのではないかと思う事が多いんです。

元々ワールドは創業者の畑崎広敏社主が欧米人はオシャレなのに日本人が垢抜けないのはその組み合わせにあると考え、それであるなら最初から全てコーディネート販売したら喜ばれるんじゃないかと ”ワールドコーディネート” とい言うブランドを作り大ヒット、それを全国にある小売店に卸す商売で会社を急成長させました。

でもその卸の商売も先が無いと感じ、1999年頃就任した寺井社長が急速に直営店ビジネスを進め会社は180度変わっていきました。

丁度その頃ボクはワールドにいたのですが、本当にビックリするほど短期間で激変しました。それまでの価値観が全否定され、何もかもがシステマチックになっていったんです。

明治維新もこんな感じなんじゃなかったのかな?と思う感じ(笑)

従来の卸ビジネスに慣れた人達はこの小売化に反対し、どんどん会社を去っていきました。

会社の中でも最初はこの小売ビジネスも亜流ワールドくらいの認識、従来の卸ビジネスでの成長を知っている方は冷たい目で見ていました。

あんなのはワールドの商品じゃない

なんで小売部署の人はスーツを着ないんだ

どうせすぐにダメになるよ!

しかし大方の予想に反しこの小売業はどんどん拡大し数年間で会社の売上の殆どを稼ぎ出す様になっていったんです。

変化をする事の大切さ、難しさ、そして変化をする時には必ず血が伴い既得権を持った人からの猛反対に会う。そんな事をまざまざと体感した数年間でした。

この数年間が無ければ今のワールドは絶対に無かったと思います。

写真 2015-05-19 4 25 02そして時代は

時代は今すごいスピードで変化をしています。でもその変化が目には見えにくい。

昔の変化は見て分かりやすかった、自動車が走る,飛行機が飛ぶ,電話が繋がる,携帯電話に変わる。みてすぐ分かるものばかり。

でも今の変化は目に見えにくいから一見時代は変わっていないように見えます。

でも3.11やフェイスブックやツイッターを始めとしたSNSの発達で人々の意識がすごく変わったように思います。

一言で言えば、繋がりの時代になっている。

それまでの大企業が発信するマス情報やブランド物と言ったモノでの繋がりから、人を介しての情報に人は動かされるようになってきた。

意識的にも無意識的にも人との繋がりを強く求める様になってきているのではないか、そんな時代に大切なのは”関係性”そして”愛”だと思うんです。

大企業が発信する画一的でマスに向けた情報もまだまだ力もあると思いますが、ソーシャルメディアが発達すると影響力の強い個人が発信する情報の力も強くなってきます。

何処の誰が書いたのか分からない情報よりも、~の専門家~が大好きな人の情報の方を信じる人が多くなってくる。

実際にボクもそうですね、何か物を買う時にその企業のホームページも見ますがそれは参考程度、口コミサイトも見ますがそれも参考程度、それよりもその事に詳しい友人にアドバイスを求める場合が多いんです。

そして~の専門家や~を好きな人の情報には愛がある。

自分がその事を大好きだから知ってもらいたいとか、その商品やサービスを使って人のお役に立ちたい、そんな思いが根底にあって、その思いは自然と伝わると思います。

独自性、愛、関係性,個

チェーン店のラーメン屋と個人営業のラーメン屋どちらが好きですか??

その答えは人それぞれだと思うのですが、チェーン店に求める物って価格とかどこで食べても同じ安心感とかそういう物だと思うんです。

でも個人営業のラーメン屋にそういった物を求める人って少ないのではないかと思います。

ボクが求めるのは、他のラーメン屋との明らかな違いです。

もしボクが醤油ラーメンを好きなら、醤油ラーメンも豚骨ラーメンも用意しているお店よりもとにかく醤油ラーメンにこだわっているお店に行きます。

万人には好かれないかもしれないけど、醤油ラーメンを好きな人には熱狂的に好かれます。

でもそれでいいのではないかと思う。これは中小企業だけでなく大企業も同じ、先日トヨタの社長がこんな事を言っていました。

好きか嫌いかどちらかです、中途半端なものは売れない。それくらい車はエモーショナルなもの。だからピンクのクラウンを出しました。

服も全く同じというかもっとエモーショナルなものです。

大企業がその規模を使って、大量の商品を安く仕入れ、全国にあるショップで効率的に販売していく。

そんな時代は終焉を迎えつつあるのではないか、ワールドのニュースを見てそんな事を感じました。


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ぜひ読んでください!
末廣徳司の本
末廣徳司の画像
日本唯一の経営者専門スーツ仕立て屋。
株式会社イルサルト
代表取締役社長
末廣 徳司
tokuji suehiro

経営者、政治家、医師、作家、
講演家、士業、芸能人、
スポーツ選手に至るまで
創業以来11年間で
のべ15,000名を超えるブランド人の
スーツを仕立てる。


「いま似合うかどうかで服を選ばない」
「好きかどうかで服を選ぶと失敗する」
「ブランド物はビジネスを減速させる」



など経営者に向けた
独自の服選び理論を提唱している。

日本経済新聞社主催で
経営者向けの着こなし術セミナー、
コラムの執筆

世界展開するブランド
「トミーヒルフィガー」の
商品開発プロデュースも行う。

大事なことは
「どう生きるのか?」を決め
その生き方に相応しい服を選ぶこと。


1人でも多くの方に服の持つ力、
装う意味や価値を伝え

経営者の生きざまをひもとき
かがやく人生を仕立てあげる

ことをミッションにしている。