祖父が教えてくれた経営者の装いで最も大切な事
祖父から学んだ装う意味
私の祖父は宮司をしていたのですが宮司としての階級が上がる度に使う色がどんどん華やかにそして使用する小物もビックリするほど増えていきました。和服で言えば十二単なんかはその最たる例なのではないかと思います。人間の欲の段階がまずは生きたいという食欲から段々満たされていくと最後は名誉欲や権力欲に変化していくのと全く同じ様に,何かを纏うと言う行為も暑さ寒さから身を守るという最も単純な目的から、他人と明らかな差を作りだし自分が何者であるのかを示すと言う目的に変化をしていくのを私は祖父の装いから学びました。
でもその変化をしていく時代の針が突如として一気に原始時代に戻る場合があります。それは阪神大震災,中越地震,東日本大震災などの大規模な自然災害が起こった時です。こういった緊急事態が起きると服の役割が一気に変わります。緊急事態の際に必要なのはとにかく暑さ寒さから、身を守れるものです。救援物資として高価なブランド物のスーツやネクタイを送った所で何の役にも立ちません,送ると逆に被災者の方の逆鱗に触れるかもしれません。こういった時に必要なのは軽くて暖かいユニクロのフリースとか,瓦礫の中でも歩きやすいスニーカーです。
当たり前の話ですが時と場合によって服に求められる役割とは変わってくるのです。
経営者にとって服とは?
では経営者が仕事をする歳の服にとってこの着ると装うどちらの概念が必要かと言うと,経営者が仕事をする際には,周囲とは明らかな違いを認識し,自分が何者であるのかを示すと装うと言う概念が必要なのです。でも私自身もずっと昔からそう考えていたのではありません。アパレル業界でずっと育ってきた私にとっては,何者であるかを示す事よりもオシャレなのかどうか?カッコイイのかどうか?の方がよっぽど重要でしたし,何者かを示すのが服なんて考えたことも実はありませんでした。
でもそんな私に,まとう服により自分のアイデンティティをも確立する事が出来るというヒントをくれたのはとある税理士さんでした。イルサルトを創業したのが2009年2月21日,起業から1週間後の2月26日にこの税理士さんに出会い,スーツを作らせて頂く事になりました。税理士さんにお会いする前に私は色々な準備を始めました,ファッション雑誌を切り取り,様々な生地を集め、どうしたらその方を今年らしくオシャレにカッコ良く出来るのか?その一心でした。
そしてお会いし全力でプレゼンテーションを始めました。今年の色の傾向,形のトレンドから始まって,そしてブランドの歴史まで詳しく説明したのです,でも暫く聞いていた彼が一言こんな風に言ったのです。
トレンドもブランドもどうでもいいのでとにかく私を信頼される税理士の外見にしあげて下さい。
一瞬耳を疑いました。トレンドやブランドがどうでも良い人がこの世の中にいる事が信じられなかったのです。それまでトレンドやブランドが最も大切で,とにかくオシャレでカッコ良い事が第一条件だった私にとってはそれまでの価値観を全て否定された様に感じられたのです。でもそこから信頼される着こなしって何だろうと真剣に考え始めました。
日本人のDNA
それまではその年のトレンドや自分のセンスを服を使って表現する事ばかりを考えていたのですが.服を使って信頼感を得られる様にするにはどうしたらいいだろうかって思いを巡らせ始めました。と同時に服自体の歴史も学ぼうと色々な本を読んだのですが,そこで分かった事は日本人ははるか昔から衣に魂を込めてきた民族だと言う事なのです。私達日本人が当たり前の様にしている事の一つに衣替えがあります。でもこの衣替えが日本特有の風習である事をご存知の方はなかなか少ないのではないでしょうか?私も知りませんでした。
春になれば春物を着る,夏になれば夏物を着る,秋になれば秋物を着る冬になれば冬物を着る。この衣替えは平安時代から始まった風習とされています。季節の変化を食べるものだけではなく,着るものでも愛でる事により更に季節の変化を楽しむ,四季のある日本だからこそ生まれた風習なのです。
自決する時にわざわざ真っ白な着物に着替えるのは日本人だけです、日本人にとって白は非常に神聖なもの,身に纏うだけで集中力が増し精神統一出来て、神聖な気分になる。その名残が残っているのが弓道,柔道などの日本古来からあるスポーツ,こういったスポーツをする時の衣装は必ず白と決まっているのです。
ただ単に暑さ寒さをしのぐ為にはでなく,何者かになりきる為に装う,これが経営者の服の最も大切な考え方なのです。
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