イルサルトの商品作りを支える匠の技
お客様の体型を加味し理想の装いを仕立てる為にイルサルトではスーツで四社の工房,シャツで二社の工房と契約し物作りを行っています。どの工房さんも日本を代表する品質の高さに定評のある工房さんばかりなのですが,中でも日本で最高品質のスーツを仕立てる工房に先日スタッフの植木と一緒に行ってきました。
私自身中国のニット工房で二年ほど働いた事もあり,物作りの現場に行くのは大好きなんです。スタッフの植木は工房を見た事が無いので,どのような工程を経てスーツが仕上がってくるのかを見せたい事もあり行く事にしました。
スーツの仕立ては機械化されている部分も勿論あるのですが,多くの工程はこうして人の手で作られています。
良いスーツを仕立てる上で最も大切な事
良いスーツが出来るのかどうか?最も大切なのは私の指示の仕方次第です。でもこれは冗談抜きで完全に言い切れる事です,と言うのもイルサルトがお世話になっている工場や職人の技術力は日本でも指折りの技術力を持つところばかり,もちろん人の手が絡む事なので100%ミスが無いとは言えませんが限りなくミスは無いに等しい。
私が指図したイメージ通りに仕上げてくれる生産背景があるからこそ私も安心して日々お仕事をさせて頂く事が出来ています。
まずはスーツの設計図を作る
私からの指示書でスーツがすぐに出来上がるわけではありません、イルサルトの指示書を工場用の指示書に変えるところからスーツの生産がスタートします。スーツは袖,背中,胸の様に色々なパーツに分かれているのですが,それぞれの形をどのようにするのかをまず決めます。
腕が細い人太い人,なで肩の人いかり肩の人,お尻が大きい人小さい人色々な体型の特徴がありますので,その体型に合わせて各パーツの形を作り上げていきます。これが”型紙作成”や”パターン作成”と呼ばれ,スーツの設計図を作る作業になるのですが,ここが物作りの肝の部分。完成度の高い型紙で作られたスーツはシルエットが非常に美しく仕上がりますのでパーツ一つ一つを慎重に作っていく作業をしながら型紙を作成していきます。
設計図を元に生地を裁断する
スーツの設計図である型紙が出来上がると次に”生地の裁断”の工程に入っていきます。
とは言え,いきなり生地を裁断するわけではなく生地全体にキズやシミ,汚れ等が無いか,スーツを作るのに十分な長さや品質を維持できるだけのクオリティなのかを細かくチェックします。そして次に型崩れを防ぎ生地本来の姿に整形するため、表生地に熱蒸気を吹かして縮械します。そして、一日程陰干しします。
スーツ好きの方なら聞いたことがあるかも知れませんが,これが”地のし”と呼ばれる作業です。地のしされた生地は,作成されたスーツの設計図を元に裁断されていきます。
平面の生地を立体的な人間の身体にフィットさせる
パーツごとにカットされた生地は次に”縫製”の工程に入っていきます。工房を見た事ある方なら分かると思うのですが裁断の段階だとパーツがバラバラで何を作っているのか全然分からなかったものが,ようやくスーツの形をしてくる。それがこの縫製の工程になります。
耐久性に優れいつまでも型崩れしにくいスーツに仕上がるのかどうか決まるのはこの縫製工程で行われる”芯据え”です。スーツは表の生地だけで出来ているわけではありません。表地と裏地,そして表からは見えない”芯地”で出来上がっているんです。人間でいえば言わば”心臓”にあたるこの芯地。この芯地の良し悪しがスーツの完成度を左右すると言っても過言ではありません。
最終仕上げも念入りに
こうして縫製が仕上がった段階で終わりではありません,最終工程である”仕上げ”の工程に入ります。全てのスーツを同じように仕上げていく訳ではありません,最終仕上げは個々の素材に適したプレス条件で、プレス機により最後の仕上げを行います。そして、最終手アイロンにより立体感のある美しいシルエットのスーツが完成します。
私のミッションであり,イルサルトの経営理念である”装う事で生まれる自信を届ける”これを実現する為に日々頑張れているのも,こうして物作りを支えて下さる方々がいるからなんです。お店に並んでいる商品だけを見ていると,何だか自動的に商品が出来上がってくる様に錯覚してしまいますが商品が出来上がると言うのは,本当に多くの方の手や思いをバトンタッチしてきた結果です。
イルサルト,縫製工場,生地屋さん,副資材屋さんなどのお仕立てにかかわる全ての人が”何の為に仕事をするのか?”を感じて日々の仕事に使命感を持って進められるように,物作りの連携を強めていきたいと思います。
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