中小企業経営者に”再現性”は不要かもしれない
ワールドで口酸っぱく言われていたこと
ワールドに勤務をしていた頃,会社の方針として口を酸っぱくして言われていた事が”再現性を高める”と言う事でした。誰かだけが出来ても意味がない,人が変わったとしても再現性高く精度の高い仕事をする為に急ピッチで色々なシステムが作り上げられていきました。
それまでのアパレル業界は良くも悪くもドンブリ勘定で人の感覚に頼る部分が多かったのですが,ワールドは業界に先駆け人の感覚に頼らない数値的な分析を基盤にした販売管理システムを作り上げていきました。
人の手によるものだった商品発注も,袖の長さや色,素材と言った商品を構成する仕様を入力すればどの様な販売ラインを描くのかを予測した自動発注システムも出来上がったのです。
無くなっていく服を作る感覚
その自動発注システムが出来上がった時,丁度私はとあるブランドの商品開発の仕事をしていたのですが,何か家電製品を作っている様に感じた事をよく覚えています。可愛い,カッコイイと言った情緒的な判断はそこに一切介在せずあったのは商品を構成する仕様だけでした。
その時に一番売れる色形を分析し,作り上げていく作業は面白い部分もあり全然面白くない部分もあったのですが,そう言ったシステムを導入する事によりワールドは急成長し,販売を科学した初めてのアパレル会社とまで言われる様になったのです。
私自身もそういった環境でずっと仕事をさせて頂き,それなりの成果も出していたのでその方法が正しいと信じて疑いませんでした。精度の高い仕事をするには,再現性の高いノウハウをシステマチックに作り上げる事。
中小規模企業に再現性は必要なのか?
数年前からイルサルトではフランチャイズを開始しています。私が今までに培った経験をノウハウに変え,フランチャイズ店オーナーさんとともにお仕事をしているのですが,今ここにいろいろな矛盾を感じています。
再現性を高くする事がフランチャイズの成功のカギだと信じて疑わなかったのですが,フランチャイズ店のオーナーさんは当たり前ですが私ではありません。今まで歩んできた歴史も全然違う人に私の経験をそのまま取り入れてもなかなか上手くいかない,そんな至極当たり前の事にようやく気付きました。
”再現性を高くする”ことだけを考えたら人工知能の方が優秀な事は間違いありません。再現性がないからこそ価値がある,その人にしか出来ないから仕事を依頼される。大手企業であれば再現性を高くした方が良いのかもしれませんが,イルサルトの様な会社であればそれぞれの個性を出し独自性のある会社を目指した方がいい。
先日のZOZOスーツのニュースを見てそんな事を又感じています。
中小規模企業の生き残る道
フランチャイズをするのであれば根本の想いが同じであったり,私の考え方に共感してもらう事は非常に大切な事なのですが,実際の進め方はそれぞれの方の個性に合わせた方法をする事でよりオーナーさんの個性溢れるお店が出来上がるのではないかと思います。
これはフランチャイズだけでなく,スタッフも同じです。スタッフの個性や才能を見抜き,その価値が最大化する様に色々な事を整備する,これも経営者の大切な仕事なのではないかと思います。
イルサルトスタッフの池田,植木,そしてフランチャイズ店のオーナーさんの個性溢れるお店を作り上げていきたいと思います。
↓はじめての書籍が
発売されました!
下記の画像リンク先
(amazon)
よりご購入いただけますので
ぜひ読んでください!