イルサルトのポケットが曲がっている理由

vol. 6124 　　




イルサルトスーツの特徴の1つが
この独特のカーブの腰ポケット。

このポケットは
「パッチポケット」と呼ばれ
直線的なものもあれば
イルサルトのように
カーブしているものもあります。



なぜカーブしているのか？



というと
実用的なメリットは
まったくありませんw


イルサルトのスーツは
ナポリスーツがベース。


実用性はなにもないけども
仕立て技術の高さをあらわす
こだわりの仕様が
ナポリのスーツには色々あります。

このパッチポケットも
直線的に縫うほうが早いしカンタン。
でもそこをわざわざカーブさせて
手間をかけるところが
職人さんの矜持そのものなのです。

ティアドロップ(涙のしずく)型の
フラワーホール(襟の穴)や
カーブした襟のシルエット。

袖のシワが
雨が降ったようにみえることから
通称「雨降らし袖」とよばれる
独特の袖のつけかた。

ボタン同士が
キスしているようにみえることから
通称「キッスボタン」と呼ばれる
重ねたボタンのつけかた。

などなど
他にも色々とあるのですが
目に見えてわかりやすいのは
このへんの仕様。

一見おなじようにみえて
でも実はすごく手間がかかっている。
見えないから一緒ではなく
見えないからこそ細部に拘る。

そんな世界観が好きな人に
イルサルトのスーツの世界を
ぜひ味わってもらいたいですね！